関東地方もいよいよ梅雨入り。青や紫、ピンクの紫陽花が街を彩っています。アルカリ性か酸性かの土壌で色が変わる紫陽花は、時代によって指導法が変化してきたスポーツの現場を思わせます。
先日、関口宏さんの番組「三人寄れば」に瀬古利彦さんと出演。瀬古さん、現役時代に履いていた片足180gの赤いシューズを持参してくれました。靴底は薄くて地下足袋のよう。今の厚くて軽いカーボン入りのものとは大違いです。「大迫傑君もこのシューズじゃ、2時間10分を切れないですよ」と笑わせ、「瀬古さんと大迫さんは体型も全然違いますからね」と私。
赤いシューズを見ていると、神宮外苑を走る瀬古さんを、中村清監督がずっと見守っていたことを思い出します。師弟関係を育みながら、瀬古さんはマラソンで15戦10勝をし、「世界の瀬古」と注目を浴びました。
お手洗いに行く時しか中村さんの目から離れることはなかったという瀬古さんですが、「女瀬古」と言われた私も同じ。成田高校教員だった瀧田詔生さんのお宅に下宿し、常に見られる環境の中で多くの日本記録を塗り変えました。上意下達の関係は「この人についていったら絶対強くなる」という深い信頼関係のもと成り立っています。
時代が変わって今は、俺についてこい!タイプでは若い選手が離れてしまいます。どちらかというと下意上達、更には下意上活。何でも話せる関係で、意見交換しながら共に伸びていっているのです。ネットでの情報も多いなか、指導者は選手に練習メニューを伝える時も、データやエビデンスを示せる人でないと信頼されません。でも今と昔、指導は変わっても良い指導者に共通しているのは、しっかり選手を見る観察力です。
(共同通信/2026年6月8日配信)