公益財団法人パナソニック教育財団が主催する「子どもたちの“こころを育む活動”」は、今年で20周年を迎えます。座長は哲学者の鷲田清一さん。「子育てで大切なのは、“育てる”方法よりも、そこにいると子どもが勝手に“育つ”ような環境を用意しておくこと」という考えのもと、自薦他薦問わずに活動を紹介してもらい表彰するものです。毎年、「あれも教育、これも教育」というキャッチフレーズにぴったりの応募が、全国の学校や自治体、団体からたくさんあります。
私は2019年から委員に加わっていますが、鷲田さんをはじめとする他の委員や受賞者の皆さんの言葉から、私自身が心を育んでいるなと思うことが多いです。今年は261件の応募があり、7件が表彰を受けました。その表彰式の冒頭で鷲田さんは「身長がのびなくなってようやく、人は大人になるわけです」と、デザイナーの原研哉さんのことばを引用し、心の成熟についてお話しされました。
霊長類学者の山極壽一さん(京都大学名誉教授)は「ゴリラの子どもは手を失ってもくじけない。ありのままの自分で前に進むのは、他と比べないからですよ」と明るく話しました。
そして今年大賞に輝いたのは、「非行というもがきに応答という支援を」という、広島の特定非営利活動法人風の家です。暴力や窃盗などで刑務所や少年院に入った人たちに丁寧に向き合い、ホームで自立支援を行っています。
この日、代表で臨床心理士の淺田慎太郎さんが授賞式に。淺田さんは風の家での様々なエピソードを紹介しながら、「非行に走るのはもがきなのです。それにきちんと応答すれば、希望に変わります」と話しました。私の心にも虹がさした早春の一日でした。
(共同通信/2026年2月9日配信)