桜の蕾がふっくらとしてきた3月15日、第47回まつえレディースハーフマラソンが開催されました。私は解説の仕事で松江に。ちょうど今、紀行作家小泉八雲さんと妻セツさんを描いたNHKの朝ドラ「ばけばけ」が終盤とあり、街は観光客で賑わっていました。それで前日の開会式、「選手のみなさ〜ん、バケバケで大人気の松江で、大化けしてくださいね!」とエールを贈ったのです。
当日、正に大化けしたのは、山田祐実さん(大阪学院大学1年)。「15㎞までは遊んでいます」と本人が言っていた通り、15㎞付近の給水を過ぎてトップ集団から飛び出し、独走体制に。前傾姿勢で、骨盤を前に傾ける理想的なランニングフォームでどんどんスピードをあげていきます。近代スポーツの父、岸清一さんの銅像に迎えられながら国宝松江城で優勝のフィニッシュテープを切りました。15㎞から20㎞の5㎞を16分21秒で走り、前半よりも後半のほうが1分近く速い、余裕を持った走りで、2位に30秒以上の差をつけての圧勝。2回目のハーフマラソンとは思えない、熟練の勝負師のようでした。この大会、過去にも鈴木優花さんや野田真理耶さんなど1年生で優勝した人が世界の舞台で活躍しています。
また山田さん、大阪薫英女学院時代は一度も駅伝のメンバーに選ばれなかったそうです。同じく大阪薫英出身で駅伝は走れず、卒業後に距離を伸ばして活躍しているのが、前田穂南さん(東京・パリ2大会連続五輪女子マラソン日本代表)。山田さんは前田さんに重なります。今後が楽しみ。
「レース後はお寿司といちごが食べたいです」と話していた山田さん。きっと宍道湖を眺めながらお寿司と共にしじみ汁を戴いたかもしれません。
(共同通信/2026年3月16日配信)