故菊池寛さんが、日本文化の各方面で活躍された方々に贈る菊池寛賞は、昭和27年にスタート。第73回となる今年、「国家の品格」などの著書で有名な藤原正彦さんが受賞されました。「明美ちゃん、映画“国宝”制作チームと同時受賞なので、吉沢亮の美男に小生のフェロモン男児もかすみそうです」とメールをくださった藤原さん。黛まどかさんが主催する俳句の会でお会いしてから、ずっと仲良くして頂いています。
12月5日、そんな藤原さんのお誘いで、都内のホテルで開催された授賞式にお邪魔することに。映画国宝は制作チームの方が出席。吉沢さんや横浜流星さんは来ておられず、ひそかに期待していた私は少し残念に思いました。
でも作家宮本輝さんなど、受賞された方々のスピーチの上手さに感動。常に起承転結を意識され文章を書いているからでしょう。まるでミニドラマを観ているような面白さでした。
中でもひと際ユーモラスだったのが、藤原さん。「大学時代は麻雀と女はすてて数学に打ち込みました」とスタート。会場は爆笑の渦に。そんな数学者の藤原さんが作家としても活動するようになったのは、父の新田次郎さんにありました。藤原さんがケンブリッジ大学留学中に送っていた手紙を、「お前から来る手紙は全て面白い」と言われたそうです。それが30代半ばに書いた「若き数学者のアメリカ」などにつながります。しかし新田さんは「孤愁」をポルトガルで執筆中に急死。「私の中で悲しみと共に怒りが生まれた」と藤原さん。そのエネルギーで、父が400ページ書いた続きを10年かけて残り350ページ仕上げました。話し終わると「あなた今日はよく喋ったわね」と奥さまの美子さん。最高の日でした。
(共同通信/2025年12月8日配信)