7月3日、函館マラソンが3年ぶりに開催され、およそ4,800人のランナーがグラウンドに。日常が戻ってきたような華やかさでした。最初にハーフがスタート。そこには前田穂南さん(天満屋)の姿がありました。4日前に、1ヶ月にわたる米国アルバカーキの合宿から帰ってきたばかり。涼やかな表情に一段と締まった体が印象的でした。
「彼女はアルバカーキが好きなので、3年ぶりに行けて嬉しかったのでしょう。ずっと走っていましたよ」と武冨豊監督。その後、武冨さんと一緒に沿道で前田さんと同僚の松下菜摘さんを応援しました。5㎞地点で、すでに穂南さんは独走に。5㎞を15分55秒、10キロを32分とハイペースで通過。「今日は1時間8分ちょっとで行くかな」と武冨さんも嬉しそう。風格を感じる走りに「穂南ちゃん、ひと皮向けた感じですね」と私が言うと、「苦労しましたからね」と武冨さん。
前田さんは2019年9月、MGCでトップになり、東京五輪のマラソン代表を決めました。しかし五輪が一年延期に。「一番良い状態の時に走れなかったことが辛かったと思います」と。その間コロナ禍でアルバカーキの合宿は出来ず、故障もしてしまいました。そして五輪は33位。「今、オリンピックから解放されて本当に走ることが楽しいようです」と武冨さん。
正に水を得た魚のような走りで、1時間08分28秒の大会新記録でフィニッシュ。すると「体がよく動きました」と笑顔の穂南さん。父哲宏さんと母麻理香さんも兵庫県から応援に来ていました。きっと心配しながらずっと見守っていたのでしょう。安心の表情。今日は何食べるの?と聞くと「ホッケかな」と穂南さん。爽やかにパリ五輪へ動き出しました。
(共同通信/2022年7月4日配信)