織田信長が金華山にお城を構えたのが1567年。そんな岐阜城を仰ぐ長良川競技場を舞台に、6月10日、11日とジャパンパラ陸上競技大会が開催されました。岐阜駅前では黄金の信長像がお出迎え。その前でひらひらと「ジャパンパラ競技大会」の幟旗が何本も風に揺れていました。街をあげての歓迎が嬉しかったです。
「みんな、信長のように天下をとりましょう」と、開始式で私は挨拶。今回は、女子車いす400mでアジア記録を作った小野寺萌恵さん(19歳)をはじめ若手の活躍が目立ちました。
「J-STARプロジェクトがありがたいですね」と話すのは、日本パラ陸連強化委員長の宍戸英樹さん。その制度は日本スポーツ振興センター(toto)がスポーツ庁などと連携して行っているプロジェクト。運動能力の高い人を集め、合宿を行って競技適性を見極め、強化・育成を進めています。そこでメキメキと力をつけた選手が日本代表になっているのです。
例えば、先出の小野寺さんはJ-STARの4期正。また今回の大会で、走幅跳びで初優勝した近藤元さん(22歳)は5期生です。近藤さんは大学1年生の時に交通事故で右足の膝上から切断し、義足に。10カ月にも及ぶ入院生活を経てパラ陸上の世界に飛びこみました。4月末の大会ではパラリンピックメダリストである山本篤さんに100mで勝利。「負けたのは初めて。でも若手が育って嬉しい」と山本さんに言わせる勢いなのです。
普段も山本さんが声をかけて鹿児島県大崎町などで一緒に合宿を行っています。近藤さんの成長を兄貴のように喜ぶ山本さん。国を挙げての大きな取り組みと、現場での細やかな育成で若手の強化が着実に進んでいます。
(共同通信/2023年6月12日配信)