受け継がれる思い
7月下旬、福島県白河市の体育館で、夏休み中の子ども達と一緒にいい汗を流しました。幼稚園・保育園の年長から小学2年生までを対象に走り方教室が行われたのです。「隣の陸上競技場は藤田敦史さんが子どもの頃から走っている競技場です」と白河市体育協会会長の斑目秀雄さんはにっこり。斑目さんは1964年の東京五輪に自転車競技で出場。町内会対抗で毎年行われている市民総合体育大会も今年で第60回を重ねており、ここはスポーツ熱が高いのです。
そして集まった約70人の子ども達は、とっても元気。「藤田敦史さん知ってる?」と聞くと沢山手が上がり「マラソンで日本記録を出した選手だよ。お婆ちゃんから教えて貰った」とハキハキと答えてくれました。今、駒澤大学でコーチをしている藤田さんは、毎年8月に選手を連れて合宿を行い、その合間に地元の中高生を指導する教室を開催しているそうです。「故郷を大事にしてくれて有り難いです」と斑目さんは話します。
中高生は藤田さんに任せて、この日は幼児、児童に走る基本の腕振りと姿勢良く走るためのスキップを指導。体づくりのためのサーキットトレーニングも行いました。皆、動きも発言も積極的で「速く走れるようになったよ」「楽しい」なんて、走りながら私を喜ばせてくれるのです。人懐っこいですねと保護者に話しかけると「お婆ちゃんっ子が多いからかもしれません」と。
東京五輪マラソン銅メダリストの円谷幸吉さんに始まり、藤田敦史さん、佐藤敦之さん、今井正人さん、柏原竜二さん、皆福島県出身です。故郷への思いが強く、後輩達のことを考える土壌があるから、いいものが受け継がれていくのでしょう。
(共同通信/2019年7月29日配信)
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