マラソンコースにも課題
春風に桜吹雪が舞った4月8日、来年開催の東京パラリンピックのマラソンコースが発表になりました。新国立競技場スタート・フィニッシュで、東京の名所を巡るコースはオリンピックと全く同じものです。オリとパラが同じなのは、2008年の北京五輪以来。ただこのコースに決まるまでは「車椅子の選手にとって競技場の出入り口は狭すぎる。ぶつかって転んでは危険。競技場の外での発着がいいのでは」という声もあがったようです。でも「パラの選手にも、競技場の大声援の中でフィニッシュを味わって欲しい」という意見が多く、安全を確保する前提で行われることになりました。この発表に多くの選手が喜んでいます。
ただ視覚障がいの選手達からは心配の声も。1つは給水。ロンドン、リオデジャネイロ大会は周回コースだったので、弱視の選手(伴走者なし)には「スタッフが同じ場所に待機して何度も手渡すことが出来ました。東京は8か所の給水が別々の場所になるので、手渡し出来ない所もでてくる」と、安田亨平さん(日本ブラインドマラソン協会強化委員長)は話します。また、日中の路面の温度を上がりにくくする遮熱性の舗装は、明るい色のため日光を反射し、弱視の人にとっては見えにくくなるそうです。「だからブルーライン(最短コースを示すライン)を太く濃く引いて欲しい」と堀越信司選手は話すのでした。
本番は、時間差で車椅子男女、視覚障がい男女、上肢障がい男子の選手達が走ります。車椅子の選手たちは体が路面に近いため、熱中症になり易く、選手の中には汗を放出しにくい人も。沢山の声を聞きながら、選手にストレスのない環境を皆で作り上げていきたいと思います。
(共同通信/2019年4月8日配信)
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