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おしゃべり散歩道2017

人の胸を借りずに

 この日ばかりは桃太郎の出番がなく、女性だけの戦いが繰り広げられました。12月23日、今年を締めくくるように行われた第36回山陽女子ロードレース大会。日本女子最初のメダリストである人見絹枝さんと有森裕子さんの冠がつくこの大会は、3位までに入ると、来年3月のスペイン・バレンシアでの世界ハーフに駒を進めることが出来ます。スタート前、「フルーツ王国から是非オレンジの国へ」と私が言うと、有森さんは「自分の夢に近づく走りをしてください」と激励しました。
 レースは最初から積極的。ルートインホテルズに所属するパウリン・カムルさんが飛び出し、少し遅れて小原怜さん(天満屋)と一山麻緒さん(ワコール)。並走しながら速いペースを刻みます。小原さんは苦労人。昨年3月、名古屋ウィメンズマラソンでは1秒差でリオデジャネイロ五輪の夢が破れました。しかしその悔しさをバネに、その年の山陽女子ロードでは優勝。また今年1月の大阪ハーフも優勝し、3月の名古屋に期待が膨らんだのです。ところが直前の故障で名古屋を断念。ロンドン世界選手権の選考会を走ることがきませんでした。悔しい思いばかりしてきたのです。
 それでも諦めない強い心が、今回のレースに表れていました。一山さんとけん制し合うことなく、積極的に先頭を追います。でも終盤には一山さんに加え、後ろから追い上げてきた上原美幸さん(第一生命グループ)や鷲見梓さん(ユニバーサルエンターテインメント)にも抜かれ、5位に。
 でも2位の上原さんから5位の小原さんまで4人が1時間9分台でゴールしたのです。速いレースの立役者は小原さん。来年は戌年、小原さんが世界を駆け回りそうです。

(共同通信/2017年12月25日配信)

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