温かさに包まれて
夏目漱石と正岡子規の生誕150年の今年12月、仕事で松山へ。優しい表情の山々に囲まれた街を、坊ちゃん列車が走る風景に心が和みました。道後温泉に足をのばすと木々に「ひかりの実」が飾られ、夜ライトアップされるととても美しかったです。
その夜、松山大学の女子駅伝部監督の大西崇仁さんと、コーチの村井啓一さん、女子駅伝部長、管理栄養士の方とお食事することに。村井さんの奥様は土佐礼子さんで、彼女も参加した賑やかな会となりました。松山大学は昨年、全日本大学女子駅伝で優勝。しかし今年は13位と厳しい状況。「トップを守るというプレッシャーを初めて経験しました。でもうちには、レース中の一番苦しい時に強かった礼子さんの精神が受け継がれています」と大西さんは話します。食事会は家族連れで集合。4歳から9歳までの子ども4人も。「大抵、家族みんなで集まりますね」と村井さん。一番年上の勇人君が皆をしっかりまとめ、4人で楽しく遊んでいました。
女子駅伝部が10年前に部員2名で始まった時は大西さんが自宅に住まわせ、奥さまが3食ご飯を作っていたそうです。今選手たちは寮生活ですが、朝は管理栄養士の方が作り、夜は奥さんが全員の食事を作っています。
そして翌日、グラウンドへ。トラックの脇には手作りの小屋があり、中の8畳ほどのスペースに人工芝が敷かれています。大西さんが「選手が練習を終えて、すぐに補強トレーニングやストレッチを室内で出来るように」とホームセンターで材料を買って、自分で作ったもの。角材にLEDライトが付けられた照明設備も自作でした。松山大学駅伝部の強さは、平成のサザエさん一家を思わせる温かさだと感じます。
(共同通信/2017年12月18日配信)
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