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おしゃべり散歩道2016

タフな選手の育成

 ツクツクボウシの鳴き声にゆく夏を感じた8月下旬、北海道マラソンの中継で宗茂さんと有森裕子さんにお会いしました。一緒に食事をしマラソン談義が始まると、話はどんどんリオデジャネイロ五輪の男女マラソンへと。「男子マラソンは惨敗だというけれど、16位の佐々木(悟さん・旭化成)は実力通りの結果を出したよ」と宗さん。アフリカ勢の強さに今の日本は手も足も出ないと言います。「そんなこと言ったらおしまい。指導者と選手がもっとタフになって、同じ目標に向かい覚悟を決めないと」と有森さんが反撃。有森さんは、駅伝を考えなくてもよい、マラソンだけに取り組めるチームが必要ではないかという考えです。
 駅伝も選手層の厚みを確保する上で大切だと私は思いますが、男子1万mに出場した大迫傑さんのように海外のチームに所属して色んな国の選手に交じって修行したり、積極的に海外のレースに出てアフリカ勢と戦う機会を増やしたりすることも必要だと思います。
 「でも4年後は東京の暑さの中でのレースになる。男子の優勝は2時間13分から15分、女子は2時間23分から25分かな。そうなると日本選手も戦えるね」と宗さん。そのために「前年までの3年間で一度は夏の北海道マラソンを走り、暑さに強いかどうかを証明するのがいい」と提言しました。有森さんも1995年の北海道マラソンで優勝し、翌年にアトランタ五輪で銅メダルを獲得しています。
 秋から冬の日本国内の選考レースで勝ち、五輪代表になることだけを考えていても、世界との距離はどんどん開いていきます。「タフな選手」を育成するための仕組みと選考方法を真剣に考えるべき時です。がんばろう、ニッポン。

(共同通信/2016年8月29日配信)

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