まぶしかったユニフォーム
小さく青いイガ栗が秋の気配を伝え、リオ五輪からバトンはパラリンピックに渡りました。五輪期間中、私は宿舎と陸上競技場を往復していたために他の競技をみることが出来ませんでした。話しは陸上に限られますが、ユニフォームのサンライズレッドが特に眩しく見えたのは男子4×100mリレー。山縣亮太さん、飯塚翔太さん、桐生祥秀さん、ケンブリッジ飛鳥さんと、誰ひとり9秒台がいない中で(9秒台ばかりの)アメリカなどを圧倒しての銀メダルは、圧巻でした。ゲートをくぐって登場する時に各国とも独自のポーズをとりますが、日本の四人は刀を抜くポーズ。戦い方も武士のように潔く、第一走者の山縣さんから切れ味のよい走りで突っ込み、バトンパスの上手は天下一品。まさに和の力で歴史を作ったのです。
そしてもう一つは、男子50km競歩の荒井広宙さんの銅メダル。荒井さんは穏やかな人柄で後輩達から信望が厚い人です。3位でゴールした後、途中接触したカナダ選手のコーチや役員から抗議があり、一度は失格に。この時は私も冷や冷やしました。なぜならば今大会は抗議に対して寛容だからです。(女子3000m障害や5000mの予選で、転倒した選手が救済措置で決勝に)しかし、日本陸上競技連盟は一丸となって頑張りました。後で尾縣貢専務理事にお話しを伺うと「すぐに日本から接触した時のVTRを取り寄せた。それを分析して妨害していないことを、帰国子女のスタッフの英語力で訴えた」これもあっぱれでした。そのおかげで失格が取り消され、銅メダルが確定しました。
リオ五輪ではブラジルらしい寛容さもあれば、ユルさもあり、4年後の東京に色々生かされそうです。
(共同通信/2016年9月3日配信)
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