香川県高松市の屋島レグザムフィールドは、瀬戸内海をイメージしたブルートラックを屋島が見守るようにたたずんでいます。4月上旬、そこで日本パラ陸上競技連盟の合宿が開催されました。来月の神戸2024世界パラ陸上に向けて士気を高めようというもの。私は3日間一緒に過ごしましたが、職人のようなコーチ陣の指導に感動の毎日でした。
短・中距離は高野大樹コーチ。高野さんは山縣亮太さんや寺田明日香さんも指導しています。選手たちの股関節周りや体幹を鍛える動きづくりを入念に行いました。私も一緒にやりましたが、走るための筋肉の隅々にまで刺激が。福永凌太さんは「僕の金メダル(2023パリ世界パラ陸上400m)は高野さんのお陰。言われたことを確実に行って一段一段上り、完成した時に結果がついてきます」と話します。
跳躍の指導は鈴木徹さん(2017ロンドン世界パラ陸上走高跳4位)。走り幅跳びの選手たちに、午前中は技術的なアドバイスを、午後は最初に10分間スピーチを1人1人にさせました。稲垣克明さんが事故に遭った時の話しをすると、「リアル過ぎる~」と他の選手から突っ込みが。そして高桑早生さんは「置かれた場所で咲きなさい」という言葉が好きな理由を話しました。皆が頷いて聞き、また共鳴したり感動したり。「自分の考えをしっかり人に伝える能力は競技力も高めます」と鈴木さん。
休憩時間の時、フィールドから見える屋島を指差し「来月の神戸で、那須与一になるのは誰かな?」と私が聞くと、「私です」と、やり投げ(上肢障害)の山崎晃裕さんが手を上げました。皆が拍手。家族的な雰囲気のチームJAPANで神戸世界パラ陸上に向かいます。
(共同通信/2024年4月7日配信)