松江城の桜の蕾が膨らんでいた3月17日、まつえレディースハーフマラソンが開催されました。近代スポーツの父と言われる岸清一賞を冠にかかげ、45回の歴史を重ねています。そして日本学生ハーフマラソン選手権も併催されているため、学生の顔ぶれが豪華。未来を占う試金石となる大会なのです。
というのも、2019年に1年生で初ハーフながら優勝したのは、鈴木優花さん(大東文化大)。最後まで加世田梨花さん(名城大)と激しく競り合いました。その後、鈴木さんはユニバーシアードで優勝し、4年後にはパリ五輪の切符を掴むという快挙。加世田さんも世界選手権マラソン日本代表になるなど大活躍しています。
この日、松江でも「鈴木さん、加世田さんに続け」という空気が感じられました。大東文化大学の外園隆監督は「1年生の野田真理耶がいいんですよ。鈴木優花に憧れて入ってきてね。初ハーフだけど、見てて」と。
スタートすると、名城大の谷本七星さんが主導権を握り、その後ろに天満屋の立迫志穂さんがピタッと付き、野田さんはその集団の中。城下町松江の歴史と文化に彩られた風景の中、宍道湖からの西風強く、それでも谷本さんが速いペースを刻みました。
先頭集団は徐々に絞られ、大阪学院大の小林舞妃留さんを含め4人に。15㎞過ぎに立迫さんが前へ出て、その後は先頭が目まぐるしく変わる展開でした。
ついに、最後の直線で野田さんがスパート!太ももの筋肉が大きく、切れ味抜群で優勝を飾りました。「鳥取から祖母も応援に来てくれて、がんばれました」と野田さん。ダイナミックな走りに、可憐な笑顔。県庁前に立つ岸清一さんの銅像が、スターの誕生に拍手を贈っているようでした。
(共同通信/2024年3月18日配信)