「予報は雨ですが、お天気になるように祈祷しますからね。皆さんがんばって~」とユーモアたっぷりに激励してくれたアンミカさん(大会アンバサダー)。大阪マラソン前日のパーティーでのことでした。その祈りが通じたのでしょう。翌日(2月25日)はスタート前に一瞬雨が止み、レース中は小雨。大阪城天守閣が見守る大阪府庁前から約3万5千人のランナーが次々とスタート。京都大学iPS細胞研究所名誉所長の山中伸弥さんの姿を見つけ、どの位で走りますか?と伺うと「3時間20分位ですかね」と山中さんはにっこり。上半身をビニールで覆う自作のポンチョに加え、手袋もビニールでカバー。緻密な研究者らしさが表れていました。
そんな様々な人が走った大阪マラソンで、トップでゴールしたのは平林清澄さん。國學院大学の3年生です。2時間06分18秒は学生新記録。初マラソン日本最高記録も更新。32㎞で集団から飛び出し、沿道に大きく手を上げ微笑んだ姿が印象的でした。何という余裕でしょう。
翌朝、電話で直接話を伺うと、その地点には応援のうちわを持ったチームメイトの原秀寿さんがいたそうです。原さん、一人で東京から応援に来て「合宿所の僕の部屋で作ったうちわで応援してくれました。名前とピストルポーズが書いてあって、それでピストルポーズしました」と平林さん。天真爛漫な選手です。
前田康弘監督にフォームの美しさを伝えると「平林は筋肉をつけるタイプではないので、トレーナーと相談して股関節の稼働域を広げるようにしています」と話してくれました。その隣で、「今朝は全身筋肉痛で朝練習はお休みしました」と平林さん。彼の明るいスター性に、陸上界に春が訪れた感じです。
(共同通信/2024年2月26日配信)