日本女子体育大学は二階堂体育塾からその歴史をスタート。昨年創立100周年を迎え、それを記念して「二階堂トクヨ記念講堂」が建設されました。先日、そこで「百年のレガシーを未来へ」というテーマで記念シンポジウムが開かれたのです。私はパネリストの一人として参加。大河ドラマ「いだてん」で寺島しのぶさんが演じた二階堂トクヨさんのことを改めて調べました。
宮城県生まれの二階堂さん。女子高等師範学校文科(現在のお茶の水女子大学)を卒業後は、石川県立高女で教壇に立ちます。ただ国語が専門なのに体育を任せられました。でも二階堂さん、これは運命で天職だと思い、その後体育学を学ぶためイギリスに留学。帰国後41歳の時に自費で二階堂体育塾を創立したのです。そこから人見絹枝さんはじめ沢山の偉人が巣立って行きました。日本女子体育大学理事長の石﨑朔子さんが「これまで48人の五輪メダリストが誕生しましたよ」と教えてくれました。
この日、パネリストとして小平奈緒さんが登壇。落ち着いた雰囲気で瞳が輝いています。引退して1年になる小平さん、「鍛える前に整える」という話しが印象的でした。小平さんはどんなにキツイ練習も我慢することはできましたが、整える(コントロールする)ことはあまり得意でなかったそうです。「整える時間は、身体に根を張る時間でした」と。自分の体を実験材料のように観察し、何をいつ食べるかを突き詰め、それが平昌オリンピックの金メダルにつながったようです。
お話しの仕方にも聡明さが溢れる小平さん。地元長野に貢献する現在の活動も素晴らしいです。これからが楽しみ!二階堂トクヨさんが作った道の先を、皆が走り続けています。
(共同通信/2023年10月30日配信)