松島から仙台まで、松尾芭蕉が歩いた道を逆方向に42.195㎞走るクイーンズ駅伝(全日本実業団女子駅伝)。今年は正に「おかえり五輪」でした。11月28日、東京五輪に出場した選手が7人走り、空気は熱かったです。 私はスタート地点で選手達を見送ってから、車でフィニッシュ地点の競技場へ。スタート前に1区を走る資生堂の木村友香さんに「がんばってね」と声をかけると「はい、思いっ切りいきます!」と友香さん。すると、彼女は2㎞から飛び出し、後ろの集団との差を開いて峠のようなアップダウンを力強く走り抜けたのです。最後はヤマダホールディングスの岡本春美さんに追い付かれましたが、ほぼ同時にタスキを渡し区間2位に。友香さんの勇気ある走りに感動しました。 そして3区では積水化学の佐藤早也伽さんが先頭に立ちました。競技場でその様子をテレビで観ていた私のそばに1人の女性が。佐藤さんの母校常盤木学園高校で陸上を教えた恩師、遠藤ひろみさんでした。「増田さん、早也伽さんは後輩達によくジャージやTシャツを贈ってくれるんですよ」と。快走する沙也香さんを一緒に観ていた遠藤さんの目には涙が溢れていて、私ももらい泣きしてしまいました。 積水化学はそのままトップを守り、5区の新谷仁美さんへ。新谷さんは区間2位の見事な走りで33秒の差を付けてアンカーの木村梨七さんへ。木村さんも力走し、そのまま優勝のゴールテープを切ったのです。 驚いたのは、5区で新谷さんの記録を1秒上回り区間賞をとったのが資生堂の五島莉乃さん。故障からの見事な復活でした。 選手が次々とゴールする頃、空に大きな虹が。がんばったそれぞれの選手を称えるようでした。
(共同通信/2021年11月29日配信)