金木犀の甘い香りが漂い始めた秋、リモートでの会議が続いています。というのも、東京パラリンピックを振り返りながら、これからの選手の強化や発掘をどう進めていくかを議論するためです。フランス、パリでの五輪・パラリンピックまであと3年。あっという間です。
「特別支援学校の全国大会を行いたいと思っているんですよ」と元気よく話すのは奥松美恵子さん(日本知的障がい者陸上競技連盟理事長)。教え子の外山愛美さんが東京パラリンピックでは女子400mで7位入賞を果たしました。奥松さんは全国に500校近くある特別支援学校に、全国規模のスポーツ大会推進の手紙を書いたそうです。目標の舞台が出来れば、スポーツへ取り組む子どもも増え、同時に強化も進んでいくでしょう。ただそうなると、先生方の仕事の負担が増え、旅費に対しても補助の仕組みがないので、それを推し進めるためには環境整備が大事です。
そして発掘も考えていかなければいけません。スポーツ庁が中心となり日本スポーツ振興センターが行うジャパン・ライジイングスター・プロジェクト(J-STARプロジェクト)では新しい才能の発掘が行われています。しかし応募人数はオリンピック競技の1,665名に対し、パラリンピック競技は169名とまだまだ少ない状況。
東京パラリンピックで一番メダルを獲得した中国は4年に一度の全国障がい者運動会が功をなしているようです。「活躍した選手はナショナルチームに招集されたり、好成績の省には沢山の予算がついたり、皆の目標になっているようです」と日本パラ陸上競技連盟強化委員長の指宿立さん。日本も埋もれた才能を掘り起こす努力が、より必要になると思います。
(共同通信/2021年9月17日配信)