向日葵も微笑んでいるようにみえます。東京五輪が開幕し、金メダル一号が柔道の高藤直寿さん。それに阿部一二三さん、詩さん兄妹が続き、水泳の大橋悠依久さんも金メダルに輝きました。連日の偉業に心が躍ります。
実はこんなに五輪を堪能できるのは初めて。これまでは、解説のため現地入りし、ホテルのテレビで観戦。放送はその国の人気スポーツ、人気選手を中心に中継するので、日本選手の活躍をあまり観ることが出来ませんでした。それに比べて母国開催は、アナウンサーの実況、解説者の言葉も入るので楽しいです。
池江璃花子さんの力強い泳ぎには感服しました。白血病を克服し、大変な努力の末に帰ってきたのです。レース後、「楽しかった。でも悔しさもあります」と爽やかな表情。
思い出すのは、2019年1月。前年夏のアジア大会で6冠に輝いた池江さんはスポーツ大賞を受賞しました。その受賞式のホテルの化粧室で彼女とお会いしたのです。ミーハーな私は「6種目泳いで疲れなかった?」と質問。すると池江さん、お化粧の手を止めて、鏡から私の方を向き直して答えてくれました。「子どもの頃はどんなお子さんだった?」と、また手を止めて・・。その優しいお顔の礼儀正しさに、私は彼女の大ファンになりました。白血病と聞いた時は悲しくて、池江さんのお婆ちゃんの「もう水泳なんかしなくていい。生きていてくれればいい」と同じ気持ちに。
そこから想像を絶する辛い闘病とリハビリを乗り越えて、奇跡の復活を果たしたのです。解説の松田丈志さんは「池江さんの筋力、スタミナは良い時の7~8割ですよ」と話します。きっとパリ五輪で金色の花を咲かせることでしょう。
(共同通信/2021年7月26日配信)