2月15日、日本陸上競技連盟は、「アスリートの身長・体重について今後は非公開とし、収集も控える」と発表しました。「大会運営上、必要な要素ではない」とあり、確かに陸上競技は柔道やレスリングなどのように体重別はないので理解できます。加えて、身長・体重から算出されるBMI(体格指数)に注目が集まってしまい、それによる無月経や骨粗しょう症の心配が、ネットでの誹謗中傷につながることもある。そんな背景があるようです。
個人情報を保護するため、私も気をつけなければいけないと思いました。これまでマラソンや駅伝の中継で「〇〇選手は171cmの長身を生かしたダイナミックな走りをしています」とか「□□選手は147cm35㎏と小柄ですが足の返しが速いピッチ走法で」なんて平気で話していたからです。私自身も選手の時は「身長150cmの小さな巨人」なんて言われていました。その選手の魅力を伝える時に具体的な数字があった方が伝わり易いという面もあると思います。でもこれからは体重については厳禁、身長は本人の同意を得たうえで解説したいと思います。
アスリートの人権問題は他にも。競技とは関係ない性的な意図で選手を動画や画像を撮影し、SNS等で拡散する卑劣な行為が問題となっているのです。ある女子選手が「コロナ禍での無観客開催は盗撮の心配がないからよかった」と言っていました。画像などがネット上に拡散されれば消すことが難しいので、選手にとっては大きな心の傷になります。今は自治体の条例で規制していますが、オリンピック、パラリンピックを機に法律を整備し、選手が競技に集中できる環境を作っていく必要があると思います。
(共同通信/2021年2月22日配信)