11月6日、全日本大学駅伝で監督バスの中からリポート。座席は上位が予想される9校の監督が前日にくじを引いて決めます。後ろから2番目が駒澤大学の大八木弘明監督、その前が青山学院大の原晋監督。「後ろから圧を感じますね~」と原さんが言うと、「こっちもプレッシャーだよ」と大八木さん。そして前から2番目に座る国學院大の前田康弘監督は大八木さんの教え子です。「駒澤に挑みますよ」と前田さんが言うと「教え子にはまだ負けられないな」と大八木さん。車中は和やかな雰囲気でした。
スタートするやいなや、青学の目片将大さんが飛び出し、誰も後を追いません。「私もびっくりですよ。目片のプライドでしょうね」と原さん。大会前から原さん、今回の駅伝を「プライド大作戦」と名づけていたのです。2位でたすきが渡った青学でしたが、2区で13位まで順位を落としてしまいました。逆に駒澤は佐藤圭汰さんが区間新の走りで4位から2位に。「駅伝は面白いよね」と大八木さんは笑顔。その後、駒澤は3区で主将の山野力さんがトップに立ち、青学は徐々に順位を上げ4位に。
そして7区で駒澤の田澤廉さんと青学の近藤幸太郎さんがエース対決。5㎞の通過は近藤さんが8秒速い。「近藤は高校時代、強い選手じゃなかったんですよ。努力家で一年一年強くなりました」と原さん。監督バスから降りて沿道で応援。大八木さんが「近藤が来てるぞ!」とハッパをかけました。
熾烈な区間賞争いは、田澤さんが近藤さんに14秒差を付けて区間新記録で勝利。すると大八木さん、「これが田澤のプライドですよ」と。原さんは苦笑いしていました。味のある2人の監督。箱根決戦が益々楽しみになりました。
(共同通信/2022年11月7日配信)