キンモクセイの甘い香りが漂った10月16日、国立競技場でレガシーハーフマラソンが開催されました。2020東京大会で、パラリンピックではこのコースで道下美里さんが金メダルに輝いたことが記憶に新しいです。
私は日本パラ陸上競技連盟の会長として、競技場内でJOC(日本オリンピック委員会)会長の山下泰裕さん始め関係者の皆さんにご挨拶。これも大事な仕事です。でも仕事の合間に小6の甥っ子がファンの小池百合子さん(都知事)とちゃっかり写真撮影をしました。
競技場内はランナー達の彩り豊かなユニフォームでお花畑のよう。およそ一万五千人のランナーは、阿部一二三さん(東京五輪柔道66㎏級金メダリスト)がスターターとして紹介されると「ウァー」と歓声をあげ、にこやかな表情で競技場を後にしました。
それからゴールで皆さんを出迎えましたが、1つアクシデントが。道下美里さんが世界記録のペースで競技場に入ってきました。周りにランナーが多く、伴走の志田淳さんは安全に道下さんを走らせるのが大変そう。すると直前にゴールテープが現れ、どちらに行っていいか迷い、足下も気にしていた志田さんが先にゴールラインを通過してしまったのです。これはルール違反。
審判や関係者が議論する間、私は2人のそばにいました。「申し訳ない」とうなだれる志田さんに「こんなこともあります」と道下さん。全然責めていませんでした。そして「失格になったら世界記録の報奨金を、志田さんにもらうから大丈夫」と、茶目っ気たっぷりに冗談を。改めて道下さんは大きな人だなと思いました。結局、失格が決定。多様性溢れるレガシーハーフ、ゴールへの誘導など次への課題も残りました。
(共同通信/2022年10月17日配信)