9月10日、オーストリア・ウィーンで開かれた国際ろう者スポーツ委員会総会で、2025年デフリンピックの日本開催が決まりました。日本での初開催!この知らせを受けて喜ぶ選手たちの顔が目に浮かびます。というのも、昨年母国開催で盛り上がったパラリンピックには、デフ(聴覚障がい者)の競技が入ってないからです。
大会後に日本財団パラリンピックサポートセンターが行った調査によると、パラリンピックの認知度は97.9%、デフリンピックは16.3%と全然違います。かなり取り残された感があるのです。
でも今年5月に開催されたブラジルデフリンピックで、日本の選手たちは大活躍。陸上競技では金メダルが佐々木琢磨さん(100m)、石田考正さん(ハンマー投げ)、北谷宏人さん(棒高跳び)の3人。この勢いで4×100mリレーでも金メダルを狙っていましたが、日本選手団の他の競技でコロナに感染した選手がいたため、全員が帰国を余儀なくされました。ブラジルへ出発する前の結団式で「絶対リレーで金メダルとりますよ~」とハリキっていた佐々木さん達。さぞかしショックだろうなと私も悲しい気持ちになり、事務局長の山岸さんに電話すると「泣いている選手もいますが、次に向かって皆で頑張ろーと決めました」と話していたのです。
母国開催は、選手にとって最高の舞台になるでしょう。そして認知度が高まれば競技環境も良くなります。実はブラジルへの渡航費用の約半分、50万円は自己負担。デフの日本代表選手でも国立スポーツ科学センターなどは使用できません。デフリンピック開催を機に選手の環境と共に、聴覚障がい者を取り巻く様々なことが改善されることを期待します。
(共同通信/2022年9月12日配信)