神奈川県立スポーツセンターの陸上競技場は八重桜のピンク色に包まれていました。それはまるでデフリンピック(4年に1度の聴覚に障害をもつ選手達の世界大会)に出場する選手達を応援しているよう。5月にブラジルで開催される大会に向けて、選手達は合宿をしていたのです。最終日に結団式が行われ、私は練習を見てから結団式に出席。すると「来てくれたんですね。嬉しいなー」と佐々木琢磨さん(28歳)。ニコニコしながら手話通訳を通して話してくれました。彼は100mサンバの、200mの選手で「ブラジルではリレーで金メダルとりますよ」と自信満々です。というのも前回のトルコ大会で4×100mリレーで金メダルに輝き、今回はリレーメンバーの山田真樹さん(24歳)の調子が抜群によいのです。この山田さんも明るいキャラで、テレビの取材にもグラビアアイドルのようなポーズをきめて笑わせていました。デフの選手は手話だけでなく人の口元を見て何を言っているかを理解するので、自分の口元の表情も豊か。だから皆さんの会話が朗らかで漫才を聞いているように感じられるのです。
昨年は東京パラリンピックで日本の多くの人がパラスポーツをテレビやネットで観て、ファンも増えました。でもそこにデフの選手は含まれませんでした。ですから、これからが出番です!きっとチームの明るさが力となり、日本の強さを見せつけてくれるでしょう。事務局長の山岸亮良さんが「前回のトルコではメダル6つでしたから、今回は7つを目標にします!」と話すと、「もっと目標あげてもいいんじゃない?」と佐々木さん。皆、大笑いで結団式も和やかな雰囲気でした。サンバの国で、あばれてきてね。。
(共同通信/2022年4月18日配信)