梅花の蕾が開いたような喜びを、北京五輪フィギュアスケート男子で銀メダルを獲得した鍵山優真さんに感じました。まだあどけなさが残る18歳。大舞台を楽しむような表情で競技を終えて、採点を待つ「キス&クライ」と呼ばれる場所に、コーチであるお父さんと並んで座りました。マスクで口元が隠れているせいか、二人はそっくり。
点数発表直前、正和さんは優真さんを指差し、両手でキラキラポーズ。いい演技をした息子を讃えたのでしょう。そして高得点が発表されると、喜びを爆発させて抱き合いました。父と息子、選手にとってこれほどの安心感はないと思います。見守られているから挑戦も冒険も出来るのではないでしょうか。
陸上競技で言えば、昨年の東京五輪女子1500mで18年ぶりに日本新記録を更新し、8位入賞を果たした田中希実さんとお父さんの健智さん。2人は二人三脚で躍進を続けています。健智さんに北京五輪での鍵山親子のことを伺うと、「想像を絶する世界で闘っていると思います。だから今回、2人で作りあげたものが形となった喜びは大きいでしょうね」と答えてくれました。
健智さんは練習前や後によく希実さんと喧嘩をするそうです。希実さんが練習内容を変えたいと言ったり、「昨年の自分を越えていない」と不機嫌になったり。時には激しくぶつかり合って、健智さんは「いつでも自分の所から出ていってもいい」と言ったことも。でも腹の底から言い合った後は、少しするとより強固な関係になれると話します。親子だから最後の言葉も言ってしまうし、そこからまた立て直すことも出来るのだと思います。深い愛情うけ続ける鍵山さん、田中さん親子の今後の活躍が楽しみです。
(共同通信/2022年2月14日配信)