小倉城に見送られてスタートした第33回選抜北九州女子駅伝大会。実業団、大学が5区間、高校6区間で同じコースを走る、全国でも珍しい駅伝です。オミクロン株の感染が広まる中、1月23日、予防を徹底しての開催に選手からは感謝の声が上がりました。
それを力に変えて実業団の部は、「若手育成」をテーマに荻野知紀監督が采配を振るったデンソーチームが優勝。また高校の部は、2年連続全国駅伝への出場を逃した筑紫女学園(福岡)がその悔しさをバネに優勝しました。一人一人にドラマがあります。
そして今回、オープン参加で凄いチームが出場。アンカーは、東京五輪女子1500mと5千mに出場した田中希実さんです。1500mでは準決勝で日本記録を樹立し、決勝でも8位入賞を果たす歴史的な活躍。彼女の呼びかけで「名城大・豊田自動織機TC連合チーム」が作られました。
1区高松智美ムセンビさん、2区後藤夢さん、3区井上葉南さん、4区和田有菜さん、5区田中希実さん。「私たちは全員同学年で中学生の頃からお互い刺激し合い高め合ってきました」と田中さん。名城大4年生の高松さんが競技を引退するので、「皆でタスキを繋ぎたい。最初で最後のチームでがんばりたい」と。自ら初の10㎞ロードに挑戦したのです。
さて、レースは1区の高松さんが7位と出遅れたものの、徐々に順位を上げ、4区の和田さんがトップと19秒差の2位に。田中さんは淡々とした走りトップに立ち、満面の笑みでゴールテープを切りました。目を潤ませた高松さんが駆け寄り、長年のライバル同士が抱き合いました。
この後はそれぞれの道で新しいスタート!困難にぶつかった時もこの友情が力になるでしょう。
(共同通信/2022年1月24日配信)