ブダペストで開催された世界陸上女子マラソンの日は暑かったですが、北海道マラソンはそれ以上でした。「今年は猛暑日が続いてイカの網にブリが多くかかるんですよ」と北海道文化放送の方から聞いてびっくり。8月27日のレース当日も、スタート時の気温が29.2℃、湿度は78%。選手の中には帽子と、首に冷感マフラーをする人も少なくありませんでした。加えて今年はペースメーカーがつかず、男女共にスローな展開に。
女子の先頭はめまぐるしく変わり、そして何と、35㎞過ぎにトップに立ったのは澤畠朋美さん。埼玉陸上競技協会所属の市民ランナーです。解説をしていた私は情報がないので焦り、CMの時に急いで調べて瞬発力で勝負!埼玉県所沢市の「さわはた動物病院」で動物看護士をされていることを知りました。お父さんの正裕さんは病院の院長(獣医師)でやはり市民ランナー、朋美さんはお父と毎朝10㎞位を一緒に走っているそうです。
私の隣で渡辺康幸さん(住友電工陸上競技部監督)が「2時間40分くらいのレースになると市民ランナーが実業団と勝負することが出来ますね」と話しました。確かに同じレースの中で実業団選手と市民ランナーが切磋琢磨できるのもよいこと。特に実業団選手の刺激になるでしょう。澤畠さんは2時間38分18秒で優勝し、2位に1分42秒の差をつけました。ゴール後に「暑さは得意なので私向きのレースでした」と澤畠さん。
男子優勝のワンブィ選手はゴール数m手前で足に限界がきて一度転びました。ゴールして次々に倒れ込むランナーたちを見ていたら、マラトンの戦いで走り終えた伝令もこんな感じだったのかなと思いました。それにしても過酷なマラソンでした。
(共同通信/2023年8月28日配信)