花の都パリで開催されている世界パラ陸上競技選手権大会で、序盤戦から日本選手は大活躍です。視覚障がい者の5千mで唐澤剣也さんが金メダルを獲得。車いす800mでは佐藤友祈さんが金メダル。そして中西麻耶さんは銅メダルを獲得しました。
正直、麻耶さんの銅メダルにはびっくり。4年前のドバイ大会で金メダルに輝いた時は、その年のNHK紅白歌合戦の審査員を務めた彼女ですが、2020東京大会は6位に終わりました。今年4月の日本パラ陸上で5m09、6月のジャパンパラ陸上でも5m11と自己ベストの5m70には程遠い跳躍。今回も「こんなに準備が出来ていない世界大会は初めて」と話していたからです。
彼女は大変賢く、自立した女性。練習も一人で組み立てて行い、スポンサー企業にも自らあいさつに行って良好な関係を築いています。そんな麻耶さん、何でも自分でやってしまうことで、競技以外で消耗しているようにも見えました。しかし、やっぱり本番に強かった!今大会では「助走がいい感じでした」と話します。また、「17歳の選手もいて、若いアスリートに与えられるものを残したいと思いました」と話す38歳の麻耶さん。そんな気持ちが力になったのでしょう。試合翌日は、力を出し切りすぎて免疫力が落ち、身体に熱がこもり起きられなかったよう。そこまで追い込める集中力こそ、彼女の力なのです。
来年5月には神戸世界パラ陸上が開催されます。神戸では1900年に、フランス文化の理解を目的に神戸日仏協会が設立されました。日本政府よりも早くから文化交流が進んでいたのです。パリ、神戸の世界パラ陸上の後は、パリのパラリンピック。六甲山からモンマルトルの丘へ、ファイト!
(共同通信/2023年7月14日配信)