今年はインターハイ(全国高校総合体育大会)が北海道で開催されます。6月、陸上競技では各地区でその予選会が開かれる中、18日にテレビの取材で岡山での中国地区大会を訪れました。目的は、岡山県立津山高校1年生のドルーリー朱瑛里さん。まだ中学生だった1月の全国女子駅伝では、区間新記録の走りで17人のごぼう抜きして周りを驚かせました。ランニングフォームも美しく、観るものを虜にしてしまったのです。その後、一部メディアやファンが故郷の津山市にも現れるなど熱狂ぶりは凄く、ドルーリーさんはある大会の出場を断念。そして取材規制が入り始めたのです。 この日、スタジアムに着くと岡山陸上競技協会、高体連、津山高校の陸上部の先生も「本人への取材は無しでお願いしますね」と穏やかな口調で話されました。日本の宝であるドルーリーさんを大事にしたいという親心が伝わります。私は「もちろん、スタンドで観戦させて頂きますね」と。本人への取材はせずに、私の主観をテレビで話しました。 2日前に1500mで優勝しているドルーリーさん。800mでは?注目が集まる中、予選、準決勝は余裕を持って通過。いよいよ決勝です。トラックに現れたドルーリーさんは流し(競技前の試走)を全力疾走のダッシュのように行いました。 そしてスタートするとすぐに先頭に。後続の選手が並びかけるとペースアップして引き離し、追いつくと引き離し、ラスト200mで3回目のギアチェンジでフィニッシュ。強気な横綱相撲の走りに私は感服しました。きれいな筋肉がついた腕や脚、大きなストライド、後半もブレない強い体幹。文武両道の津山高校で、伸び伸びと強くなっているのが分かりました。
(共同通信/2023年6月19日配信)