「五月の朝の新緑と薫風は私の生活を貴族にする」と萩原朔太郎さんの詩にありますが、正にそうです。5月半ば、東京都立川市・昭島市にある国営昭和記念公園で、シャーレーポピーやネモフィラなどの花々に囲まれながら、平均年齢60歳強の方々約50名と歩きました。風も爽やか、美しい風景に癒やされながらの至福の時間でした。
このイベントは、東京マラソン財団に寄せられた寄付によるスポーツレガシー事業のひとつ。公園などに自動計測システムを設置し、参加者の皆さんはチップの入ったリストバンドをつけて歩きます。すると自分の歩いた距離やスピードが記録され、スマホやパソコンで確認することができるのです。
若い人はスマホを持ちながらGPS機能で同じことが出来るのでしょう。でもご年配の方はスマホが重く感じられますし、操作も複雑で難しい。リストバンドだけで距離や歩くペースのデータをとれることが、続ける力になると思いました。
歩きながら「腕は振った方がいいですか?」「私のO脚は歩いて治るでしょうか?」等たくさんの質問が。私はアメリカ人が「エクササイズウォーキングといって、曲げた腕を走る時のように振って速歩きをしていますよ」と話しながら歩きました。
医師は「2本の脚は2人の主治医」と言います。日本人の平均寿命は男性が81歳、女性が87歳。でも健康寿命との差が約10年です。私の母も足腰の弱さから、今は介護保険のお世話になっています。気軽にできるウオーキングは足を強くし、四季折々の景色に出会うことが出来ますから、心も豊かに。全国各地で楽しい歩くイベントが増え、運動習慣をもつ人が多くなると、日本は元気になると思います。
(共同通信/2023年5月15日配信)