競技の引退を発表した国枝慎吾さんに、国民栄与賞が贈られる話があがっています。春の訪れにふさわしい明るい話題で嬉しいです。パラスポーツの選手では初めてのこと!テニスの四大大会とパラリンピックを制する生涯グランドスラムを達成するなど、国枝さんは車いすテニス界の王者。現在も世界ランキング1位で、トップのまま引退なのです。
国枝さんにお会いするたびに感じるのは風格。穏やかな中にも、挑戦を続ける情熱が目に表れています。私が「パラスポーツが共生社会の…、多様性が…」と言い過ぎると、「私は勝つためにいいプレーをするだけ。社会を変えようと思って試合をしていていませんよ」とピシャリと。シャープな発言も含めて、これからリーダーシップをとる人!期待したいです。
国枝さんのテニスの試合を生で見た時の迫力は忘れません。車いすの動きの素早さや飛び交うボールのスピードなど、やはりスポーツは競技場で観戦するのがいいと感じました。
来年5月には神戸世界パラ陸上選手権大会が開催されます。先日、9回目の組織委員会総会が開かれました。何かと注目されているスポーツ大会の組織委員会。「透明性」を大切にしようと、予算などの情報をしっかり公開していきます。そして国際都市神戸らしさを出しながら、「選手と子ども達の触れ合い」を大切にしていこうと話しています。
2020東京大会はコロナ禍で、選手との触れ合いがほとんど出来ませんでした。以前、パラ陸上の大会で出会った小学校の先生が「パラスポーツを観戦した子ども達は、1日で変わります。ゼロがイチになるんですからね」と話しました。選手の強化と共に、観てもらう努力をしていきたいと思います。
(共同通信/2023年2月6日配信)