大阪城公園の梅林では、寒紅や冬至など例年よりも多くの梅が開花していました。1月29日の大阪国際女子マラソンで再び花開いたのは、前田彩里さん(31歳・’15北京世界陸上代表)です。レースは安藤友香さんが先頭集団で積極的な走りを。30㎞以降でエチオピアの2人の選手に離されるも3位に。前田さんは第2集団で5キロ16分50秒のペースを着実に刻み、2時間25分24秒の6位でゴール。見事MGC出場権を獲得したのです。彩葉ちゃんを出産してからおよそ2年。ママさんランナーとして帰ってきてくれて、陸上界にも彩りが増しました。
レース前から、山中美和子監督は「2時間25、26分ではいけますよ」と自信あり気。彩里さんは年末年始の宮崎合宿などでも走り込めていたからです。
復活の一番の力となったのは、母親の淳子さん(市民ランナー)でしょう。出産後は実家の熊本で生活。実業団選手のご主人は合宿が明けると熊本で家族と合流しました。淳子さんは「出産して1年は走れる状態ではなかったですね」と話します。彩里さんは筋力も落ち、夜泣きの対応や授乳による貧血で出産前の状態に戻すのが大変だったようです。
子育ても2年目に入り余裕が生まれ、チームの合宿にも参加。その時は淳子さんも同行して彩葉ちゃんの世話を。「彩葉ちゃんが合宿にくると、選手皆が癒やされて元気になりますよ」と山中監督が言うと、「お陰で彩葉は全然人見知りしません」と淳子さん。
レース当日、淳子さんは森ノ宮で彩葉ちゃんと一緒に3回応援。最初だけ彩里さんは淳子さんの応援の声に手を上げて応えてくれたそうです。この日は淳子さんの60歳のお誕生日。最高のハッピーバースデーになりましたね。
(共同通信/2023年1月30日配信)