向日葵も給水したいような表情にみえました。7月4日~6日の3日間、国立競技場で開催された日本陸上競技選手権大会。私は後半の2日間取材に訪れましたが、暑くてフィールド種目や長距離は競技時間が変更に。WBGT(暑さ指数)が31を上まわることが予想されたためです。
大会2日目、女子1500m予選に出場の田中希実さんを密着取材!「邪魔しませんからね」と、私は「家政婦は見た」(昔のドラマ)の市原悦子さんのような感じで柱の陰から希実さんを観察。その不審な動きを、父・健智さん(コーチ)と母・千洋さんに笑われてしまいました。昨夜は何食べた?と希実さん尋ねると「カロリーメイトだけです」と。暑い中のレースで内臓も疲れてしまったのかもしれません。
初日の5千mは、3千m過ぎから独走して大会記録の14分台で優勝。見事な結果に満足しているかと思いきや、「最後の1マイル(1600m)で自分のマイル記録を破りたかったのに叶いませんでした」と希実さん。少しも満足していないのです。常に高い目標を設定し、世界との距離を縮めていこうとしています。
1500m予選の前、「ラスト2周はキリッと!」と健智さんが声をかけました。すると、その言葉通りのレース展開になり、トップタイムで通過。そして「今日は鰻を食べます!」と嬉しそうな希実さん。
翌日の決勝は「思い切っていけばいい」の健智さんの言葉に、希実さんは大きく頷きました。スタートから飛び出し、一度も先頭を譲らずに見事6連覇を達成。数年前はレース前に言い争う場面もありましたが、今は深い信頼でつながっていることを感じました。9月の世界選手権、世界の強豪たちとの戦いが楽しみです。
(共同通信/2025年7月7日配信)