花束で頂いた色とりどりのダリアの花。5月末、山形県川西町にある県立置賜農業高等学校創立130周年の記念講演会にお招きをうけました。校門を入ると、すぐ右手にダリアを栽培する温室があり、自然が豊か。
置賜農業高校(置農高)とのご縁は、一昨年、パナソニック教育財団主催の「こころを育む活動」で置農高が優秀賞を受賞したことがきっかけでした。鷲田清一さんが座長を務めるこの会。私は審査委員の一人です。置農高は、子ども食堂や子ども農園等、地域と一緒に行っている食育活動が評価されたのです。表彰式当日は演劇部だという男子生徒の元気いっぱいのスピーチに大拍手が起こりました。
この日、置賜高を訪れて、先ず生徒たちの明るさが心地良かったです。誰もがハキハキと挨拶をし、「サインをお願いします」とホッケー部のキャプテンに言われて色紙にサインを。聞くと、ホッケー部は昨年インターハイにも出場したそう。また昨年、農業高校の甲子園と言われる学校農業クラブ全国大会で、平光沙緒理さんが最優秀賞を受賞。「私たちもがんばります」と後輩達もイキイキとしていました。
生徒の皆さんの前で私は、実家が千葉県で専業農家を営んでいたことや、五輪で失敗した時のことなど、経験談を。人目が気になって外に出られなくなり、故郷に帰った時に、蓮田で作業する父の横で泥の中に手を入れました。すると、包まれるような安心感を得て、その瞬間に気持ちが切り変わったのです。土の持つ力の素晴らしさを話すと、皆さんが頷いてくれました。
農業もスポーツも目標に向かって、一歩一歩着実に進んでいきます。未来の日本の食を担う高校生から、すごく勇気を頂きました。
(共同通信/2025年6月2日配信)