金木犀の甘い香りが漂った10月初旬、神宮外苑でウオーキングイベントが開催されました。北海道マラソンを協賛しているカネカの主催です。私はその大会の解説をしていることから、カネカの皆さんと親しくなり、この日はゲストとして参加。東京、横浜、千葉、埼玉などから約100人が参加され、3.5㎞を一緒に歩きました。ご夫婦、親子、姉妹、お友達、1人での参加もありさまざま。
その中に、92歳の依田東三郎さんという男性が娘さんと一緒に参加。依田さん、背筋が伸びてスマートで、とても92歳にはみえません。話しかけると、60歳で退職してからスポーツを始めたそうです。「朝起きてストレッチや踏み台体操など1時間行っています」と依田さん。食事は何を召し上がるの?と千葉から参加の方が興味津々に質問を。すると、「朝はブロッコリーと納豆ごはん、卵、ヨーグルも戴きます。お昼は小豆を甘く煮たものね。夜は魚と野菜をたくさん」と。話し方が上品なので、皆さんが周りに寄ってきました。運動は?と聞かれ「毎日40分歩いています」と。依田さんの話に「母を介護しているので参考になります」とメモする女性も。
先日、厚生労働省は日本には100歳以上が9万5千人余と公表しました。依田さんのように、運動習慣とバランスの良い食事、イベントの参加するほどの意欲など、高齢者のお手本でしょう。
春に82歳で逝去した私の母は72歳の時に庭で転び、腰椎を圧迫骨折してから歩く距離がグンと減りました。そこから徐々に体力が落ちていったのです。整形外科の医師から伺った「二本の脚は2人の主治医」という言葉を胸に、歩くことの大切さを伝えていきたいと思います。
(共同通信/2024年10月7日配信)