全国都市緑化フェア期間中の仙台市で、6月4日、仙台国際ハーフマラソンが開催されました。いつもは5月中旬の開催。今年はG7科学技術大臣会合の関係で6月に日程変更されたのです。
この日、スタート時(朝10時5分)の気温は24℃、加えて台風2号から変わった低気圧の影響で8mの風が吹くなど、走るに厳しい条件でした。
私が注目していたのは、一山麻緒さん(東京五輪女子マラソン8位入賞)です。大会前日の記者会見では「今、どの位の力があるか確認したいです」と麻緒さん。故障で満足な練習が出来ずまま臨んだ3月の東京マラソンでは、不本意な結果に泣いていました。その後、4、5月はアメリカのアルバカーキで合宿。仙台は、パリ五輪の代表決定戦MGC(10月)への第一歩だったのです。
記者会見後のパーティーで麻緒さんは、「仙台は毎年駅伝で黄色く咲いた落ち葉の中を走っていますが、緑豊かな中を走れるのも嬉しいです」とスピーチ。歓談が始まると「落ち葉が咲くのは変でしたね」と反省していましたが、私は落ち葉が咲いて見える彼女の感性が好きです。
翌日、スタートすると風を切って走る勢いで、レースは一人旅でした。美しい体型から生まれるダイナミックな走り。向かい風の中、ペースは徐々に落ちたものの圧勝でした。「何より勝てて良かったです」と麻緒さん。
ご主人は男子マラソン日本記録保持者の鈴木健吾さんです。日本に居る時は共に生活し、彼女は1日3回の食事を作り「生活面の意識が高まって、より練習に集中できます」と話します。目標は「2人でパリ五輪に出場すること」。その第一歩を踏み出しました。青葉城からモンマルトルの丘へ、がんばって麻緒さん!
(共同通信/2023年6月5日配信)