来年3月に延伸予定の北陸新幹線の真新しい高架が、水の張られた田んぼに写っていました。4月16日、加賀温泉郷マラソンが開催され、私は毎年ゲストとして応援で参加。約3千人のランナーが並ぶスタートラインの先頭に、石川県知事の馳浩さんの姿があってびっくりました。地元のJリーグチーム、ツエーゲン金沢のユニフォームを着て、周りの速そうなランナー達と談笑を。その姿がヒョウの群れの中に、1頭のサイが迷い込んだ感じで微笑ましかったです。
「馳さんには親しみがあります。1984年のロス五輪に共に参加しましたが、共に活躍出来ませんでした。今日はがんばってください」とマイクで話すと、馳さんは大笑い。優しい人です。7回目のフルマラソンだそう。自己ベストは2019年の金沢マラソンで出した5時間55分56秒。「ここは6時間制限だから厳しいですよ」と話していたのです。でも週に5日間、1時間の速歩と1時間の補強トレーニングを行っているとのこと。でもマラソン向きとは言えない筋肉質の大きな体です。私が応援した12キロ地点では少し足を引きずりながら、1人黙々と走る馳さんの姿があり、完走は無理かなと思いました。
コースは片山津、山代、山中と3つの温泉地を巡る、正にスポーツツーリズムを代表するもの。温泉宿の女将さん達も和服姿で応援し、ランナーの皆さんも嬉しそうでした。
八重桜に囲まれた競技場に帰ってくるランナーを迎えていると、制限時間まで残り5分の時に馳さんの姿が。ワーっと、大きな歓声があがりました。ゴール後、「坂道がきつかった。根性で走りましたよ」と笑顔。マラソンを走ってご自分もハッピー、周りもハッピー。爽やかな日曜日でした。
(共同通信/2023年4月17日配信)