近代スポーツの父、岸清一さんの故郷、島根県松江市へ。第44回松江レディースハーフマラソンが開催され、解説で伺いました。この大会は世界への登龍門と言われています。過去には高橋尚子さんや野口みずきさん、新谷仁美さんなども出場。実業団選手はもちろんですが、大学生のワールドユニバーシティゲームズの選考会になっているため大学のトップ選手たちが集います。
大会前日に松江城の周りをジョギングすると、ソメイヨシノの蕾もほころび始めていました。そしてレースは、パナソニックの中村優希さん(22歳)が凛とした美しいフォームで最初から先頭を引っ張りました。大学生は上位3人が9月のユニバーの代表に。先頭を走る中村さんのハイペースに大学生7名が中盤まで積極的についていきました。サバイバルレースで少しずつ絞られ、終盤は中村さんの後ろに、名城大の原田紗季さん、大阪芸術大の北川星瑠さん、大阪学院大の永長里緒さんの3人が残ったのです。そして最後は18㎞過ぎに中村さんがスパートし、大阪芸大の北川さんとの一騎打ちに。中村さんがフィニッシュ直前で振り切って優勝しましたが、北川さんも堂々の学生大会記録を達成。白熱した素晴らしいレースでした。
中村さんは年末年始の宮崎合宿で、恒例の書き初めに「初」と書きました。自分の殻を破りたいという思いがあったのでしょう。レール後「確かに最初からこんな先頭を走るレースは初めてだね」と安養寺俊隆監督が言うと、隣で「次は初マラソンに挑戦したい気持ちがあります」と中村さん。楽しみ!その後、出雲蕎麦を食べに行くのかと思いきや「美味しそうなカレー屋さんを見つけました」と中村さん。現代っこです。
(共同通信/2023年3月20日配信)