「録画した亜由子のマラソンを何度も何度も観ているのですよ」と嬉しそうに話すのは、村松千枝子さん(88歳)。3月12日に開催された名古屋ウイメンズマラソンで、日本人トップの2位(2間21分52秒)なった鈴木亜由子さんの(母方の)お婆ちゃんです。千枝子さん、家の近くにある岩谷観音へ毎日お詣りに行って、亜由子さんのレースが近づくと「十円から百円にお賽銭を奮発するんですよ」と話すとってもチャーミングな方です。亜由子さんはいつも「祖母は足が悪いので転ばないか心配しています」と話しています。
こんな家族の支えがどれほど力になったことでしょう。レースは30㎞手前から第2集団にいた亜由子さんが飛び出しました。アルバカーキの練習中に足に痛みが出たと聞いたので心配していましたが、「故障に負けずにがんばりました。亜由子はマラソン選手として成長している。彼女のマラソンはこれからです!」と高橋昌彦監督も喜んでいます。
それにしても亜由子さんの強さと無邪気さは、中学生の頃から変わりません。素直で純粋な秀才ランナー。そしてすごい努力家。亜由子さんががんばり続けることが出来るのは、温かい家族が力になっているとつくづく感じます。
この日のレースを千枝子さんは、父方の祖母佳美さんと一緒にテレビ観戦。お父さんの伸幸さんとお母さんの由美子さん、そして恩師の夏目輝久さんは、地下鉄を乗り継ぎながら沿道の5ケ所で応援しました。「増田さん、私たちは本当に親バカです」と伸幸さんは言いますが、この温かさが亜由子さんを支えているのです。そして2人のお婆ちゃんの生きがいにもなっています。お婆ちゃんの五平餅をまた食べに伺いますね。
(共同通信/2023年3月13日配信)