スタート時は雪が舞っていた2月26日、大阪マラソンが開催されました。気温5.4度と寒い中、西山和弥さん(24歳・トヨタ自動車)が初マラソン日本最高記録を樹立。視覚障がいの部で和田伸也さん(45歳・東京パラリンピック1500m銀、5千m銅)がT 11(全盲)マラソン世界記録を更新しました。マラソン界も春です!
和田さんのコーチである安田亨平さん(日本ブラインドマラソン協会強化委員長)は「和田さんの努力とガイドランナーの努力の結晶です」と、とても喜んでいました。走り終えた和田さんも「2人のお陰です」と感謝の気持がいっぱい。前半は実業団選手である矢嶋謙悟さん(中央発條)、後半は長谷部匠さんが伴走。長谷部さんはチュニジアのハテム・ナスララハさん(東京パラ・マラソン4位)が直近に出した2時間24分49秒を意識していました。東京パラリンピックでは9位だった和田さんの前でゴールしていたからです。ナスララハさんの記録を目安に5㎞17分10秒を確実に刻み、結果、彼の記録よりも20秒ほど良かったのです。「パリ大会へ自信がつきました」と和田さんも嬉しそう。千葉の富津や沖縄合宿では30㎞の変化走など厳しい練習を乗り越え、大阪で笑顔の花を咲かせたのです。
それにしても和田さんの45歳の活躍には、勇気をもらえます。快挙の一因に会社愛があると思います。長瀬産業に2018年から所属し、しかも伴走の長谷部さんも一緒に。そこから記録を伸ばしています。「最高の練習環境で、恩返しがしたい」と和田さんが言えば、「社員も和田さん達からパワーをもらっています」と、社長の朝倉研二さん。この一体感がステキなのです。パリ大会が楽しみ!
(共同通信/2023年2月27日配信)