10月2日、宮崎市のひなた陸上競技場で、全国ダウン症アスリート記録会が開催されました。ダウン症の選手36人以外にも、チャレンジの部に東京パラリンピック男子走り幅跳びで銅メダルに輝いた山本篤さんなど52人、マスターズの部に119人が参加。賑やかで競技場の名前通りの明るさでした。まさにオール陸上です。
「ダウン症の子どもたちの参加が昨年より6人増えたのが嬉しいです。今日もみんなハリキッテますよ」と、この大会を作り上げた奥松美恵子さん(日本知的障がい者陸上競技連盟理事長)。60m走が始まると、ダウン症の子どもの中にはずっと笑顔で走る人、観客席の家族に手を振り続ける人、ゴールの先までも走る人がいて、皆とっても可愛いのです。
そうかと思えば、ブルーのユニフォームにブルーのスパッツ姿で96歳の竹内敬郎さんが登場。背筋がピンっと伸びた凛々しさで、60mを走り切りました。観客席から大きな拍手が。竹内さん、走り終わってからもお元気で、張りのあるお声で話してくれたのです。1993年に宮崎で開催された世界ベテランズ陸上が競技を行うきっかけになったこと。昨年のこの大会ではスタート直後に転んでしまい、ゴールまで20秒かかり悔しかったこと。そして「私は特攻隊の死にそびれです。皆の分もがんばらないと」明るい表情で話すのでした。その隣で87歳の男性が、「いやー、私なんかまだまだひょっこですわ」と。周りは爆笑でした。
そんな高齢者に刺激されてか、ダウン症の菅原誠士朗さんが100mで日本記録達成。やり投げでも野脇颯(のわきそう)真(ま)さんが日本記録。ごちゃまぜの温かさから生まれる力があると感じた宮崎。ヤシの木も笑ってみえました。
(共同通信/2022年10月3日配信)