赤い実をつけたナナカマドが秋を彩った9月半ば、函館へ。お友達の島信一朗さんにお招きをうけました。島さんは全盲で、北海道視覚障害福祉連合会理事長でいらっしゃいます。
彼の行動力にはいつも脱帽させられます。「障がい者を甘えさせてはいけません。私たちが社会の役にたちたい」と、講演会を開いたり、健常者と視覚、聴覚障がい者が共に楽しめる映画祭を開催したり。とにかくエネルギッシュで、今夏には北海道マラソンを4時間台で走りました。
この日、私は島さんが定期的に行っているランニングの伴走練習会に参加。その後に一緒にトークショーを行いました。練習会にはおよそ40人のランナーが参加。準備体操が始まる前に「皆さんアイマスクをつけてください」と島さん。すると、みんな見えない中で自分が体を動かすスペースを確保しようとするので、自然に会話が生まれます。「それが大事なんですよ」と島さん。またアイマスクをして、体を弾ませる体操をした時に、私は怖いと感じました。これも貴重な経験。
さぁ、いよいよ伴走スタートです。絆と言われるロープの持ち方から始まり、声かけのコツを学びます。「方向を伝える時などはクロックサインで」と島さん。正面が12時、右に90度が3時というように、時計の文字盤の中心からどの方向かを時間で示すと分かり易いとのこと。
そして薄めのシートを地面のゴムの上に置き障害物変わりに。「障害物は伴走者が踏んでください」と。つまり道路を走る時に窪みやマンホールがあれば、伴走者がそれを踏むことで視覚障がい者を安全に導けると島さんは話しました。ちょっとした知識が共生社会を進展させることを知った、明るい1日でした。
(共同通信/2022年9月26日配信)