秋を先導するように道端のコスモスが風に揺れ、ジョギングする距離が延びてしまいます。昨年の今頃は東京パラリンピックも閉幕し、2020東京大会の感動の場面を振り返っていました。
そして一年経った今、毎日のように伝えられる組織委員会元理事による汚職のニュースに残念な気持ちでいっぱいです。AOKIホールディングスやKADOKAWA、広告会社の大広と、複数社の名前があがり、元理事などとの金銭の授受など水面下での取引疑惑にうんざりさせられます。2030年の招致を目指している北海道・札幌オリンピック・パラリンピックの活動にも水をさすでしょう。
五輪やサッカーワールドカップはじめスポーツの大きなイベントとなると、関わる人も多くなります。主役の選手は、勝利や記録など大舞台で自分の力を出し切るという「志」に生きています。選手を導きサポートする指導者や栄養士、トレーナーの方々も。でもその周囲に「お金」目的の、志のない人が混じっているのです。
先日、日本オリンピック委員会会長の山下泰裕さんが「透明性と公正性のために改革をする」と発表しました。スポーツ庁長官の室伏広治さんも「公平さを求められるスポーツの世界で決して看過できない」と。選手を経験したスポーツ界のリーダーは本当に怒っています。
スポーツが商業化され、プロ化が進んだことで、選手の練習環境が良くなったり競技レベルが上がったりしたことも事実です。選手に還元し、選手の舞台を整えるためにお金を集め、ビジネス化するのは大歓迎。そこには志がありますから。アスリートファーストを掛け声だけに終わらせず、選手や選手経験者が改革のために声を上げるべきです。
(共同通信/2022年9月16日配信)