NHK大河ドラマ「いだてん」が放送されたのは2019年。そして2020東京大会後も、主人公金栗四三さんの故郷熊本県玉名市では、金栗さんのスピリットを残したいと活発にイベントが行われています。7月31日は「金栗四三を語るシンポジウム」に招かれ、筑波大学の真田久さん(66歳)と大林太朗さん(33歳)とご一緒しました。
お二人はドラマ「いだてん」のスポーツ史考証や資料提供など重要な役割を果たされ、この日はおよそ300人のお客さんを前に撮影秘話もたくさん。1912年、金栗さんがストックホルム五輪に向かう時「シベリア鉄道で2週間も走れないことが一番辛かったようですよ」と真田さん。途中駅で列車が止まっても、いつ出発してしまうが分からないため、車外に出ることができなかったそう。
また大林さんが宮藤官九郎さん(脚本担当)とお食事をした時に、関東大震災後にスポーツで元気になろうという機運で「復興運動会」が開催されたことを話したそうです。その話をもとに新たに台本が書かれました。皆さん興味津々のお顔。
私も楽しくてメモが忙しい。金栗さんは東京高等師範学校(現筑波大学)時代に、当時の校長の加納治五郎さんから「トップ選手だけでなく、生涯スポーツの普及もしていかなければいけない」と言われました。特に水泳と陸上長距離は、お金がかからず、運動神経がよくなくても出来るからと力を入れたのです。きっとそれが今の市民マラソン人気につながっているのでしょう。
真田さんと大林さんは金栗さんの精神を、玉名高校はじめ多くの人に伝えようとがんばっています。玉名市と一体となったレガシーづくりに心がほっこりしました。
(共同通信/2022年8月1日配信)