あちこちで元気に咲く向日葵。その表情に福士加代子さんを思い浮かべます。彼女も今、あちこちで引っ張りだこです。1月の大阪国際女子マラソンで引退してから、指導やイベント、テレビ出演など大忙しの活躍。先日はNHK-BSの「ランスマ倶楽部」に登場しました。競技人生で追求し続けたのは「どうしたら楽に走れるか?」ということ。「がんばることは上が決まっている。“楽”には限界がないんです」と笑顔で福士節を。
そしてゲストの皆さんに体の力が抜けたランニングフォームを指導。肩をすとーんと落として目線は真っすぐ、腹筋に力を入れないなど。福士さんが現役の頃、3Dゲームを使って、自分のフォームを俯瞰しながら研究していたことを思い出しました。今は所属していたワコールチームの合宿などにも同行し、選手にアドバイスもしていますが、やりたいことは沢山あるようです。
その1つにマラソン大会のプロジェクト。香川県女木島に遊びで行った時、「味噌汁が美味しかったんですよ。人も温かくて」と好きになってしまったそうです。そこで島と島を巡る「友達プロジェクト」が出来ないかと考えています。また故郷の青森県板柳町は少子高齢化が進んでいます。「マラソンで地元を元気にしたいですね」と福士さん。彼女の周りは笑顔が溢れています。
そんな彼女がこれまでの選手生活を綴った「福士加代子」(いろは出版)は、自身の気持ちだけでなく、親友の麻衣ちゃんはじめ周りの人の証言が面白い本です。知られざるエピソードが満載で、福士さんの笑顔の裏にある様々なドラマを知ることが出来ます。日本女子陸上長距離界を長年引っ張ってきた福士さん。これからが益々楽しみです!
(共同通信/2022年6月27日配信)