俳人の黛まどかさんが、「京都×俳句プロジェクト」でインターネットを通じて世界中から俳句を募集しています。「俳句は花鳥諷詠、いのちを詠みます。こんな時だからこそ世界の人々といのちを詠み合いたい」と黛さん。今回のテーマは「Haiku for Peace」、平和です。未だコロナ禍で収束はしていません。そしてロシアのウクライナ侵攻は目に余る残酷さ。世界各地でも紛争は続いています。黛さんは、俳句を通して平和の大切さを共有できればと願い、「白鳥の帰りゆく地を思ひをり」と詠みました。その句に私は、毎年阿武隈川に飛来する白鳥を思い浮かべて切ない気持ちになりました。
北京パラリンピックの最中に戦争が始まり、そんな中でもウクライナの選手はクロスカントリースキーやバイアスロンで活躍を。女子バイアスロン選手のアナスタシア・メルクシナさんは「バイアスロン用のライフルをマシンガンに変える時期がきました」と大会終了直後に、祖国を守るために戦う意思を明確にしました。選手が武器を持つなんて…、日本では考えられません。外国へ出稼ぎに行っていた人が愛する人や祖国を守るために帰国して戦っているというニュースも。ウクライナの国旗の色を思い浮かべながら私は「踏まれてもなほタンポポの咲き誇る」と詠みました。
平和でないとスポーツは出来ません。古代オリンピック(BC776年からAD393年)では、ポリス(都市国家)同士の戦争があっても、オリンピック期間中は休戦していたのです。大会場であるオリンピアを目指し移動する選手たちを守るためでもありました。
黛さんの呼びかけに、文学や音楽、スポーツ、経済界など様々な人から平和を願う俳句が寄せられています。
(共同通信/2022年3月28日配信)