菜の花が風に優しく揺れた海の中道海浜公園(福岡市東区)で、2月26日、クロスカントリー日本選手権が開催されました。今夏米国オレゴン州で開かれる世界陸上選手権への第一歩。私はRKB毎日放送のスタジオで、映像を観ながら瀬古利彦さんと原晋さん(青山学院大監督)と解説を。「松枝君にがんばってもらいたいね」と瀬古さんが応援していた松枝博輝さん(富士通)がシニアの部で見事優勝しました。
松枝さんは東京五輪5千mに出場しましたが、海外の選手に手も足もでず、五輪後は思い悩んだいたのです。「クロカンで払拭したい。勝ちに行きます!」と前日の記者会見での宣言通り、勝負強さを見せつけてくれました。見事な復活への第一歩に、瀬古さんも父親のような眼差しで喜んでいました。
そして女子は名城大学の小林成美さんが実業団選手を破って優勝。ラスト1㎞で先頭から20mほど遅れ、優勝は無理かとスタジオの誰もが思ったのですが、最後の直線で大逆転。最後まで諦めない凄まじさでした。
さて、ジュニアの部は放送されず、私達は3人でテレビ観戦を。瀬古さんと原さんは勧誘目線でお茶間トーク。「先頭の〇〇さんは卒業後、早稲田なんですよ。彼のセンスやオシャレ感は早稲田ですよね」と原さん。「〇〇くんは粘り強いね、どこいくの?」と瀬古さんが言うと、「駒沢です」と原さん。「須磨学園の彼、ウチに来るんですよ。いいでしょ」と原さんが言えば、「緑色のウェアの選手、体感安定している。私が監督だったら欲しいね」と瀬古さん。成程、こんな感じでレースをみながら、勧誘したい選手を決めているんだなと思いました。菜の花の香りが届くような和やかな時間でした。
(共同通信/2022年2月28日配信)