2021年の東京パラリンピックは母国開催のお陰で、多くの人にパラ競技を知って貰うきっかけになりました。にわかファンも増えて、日本パラ陸上競技連盟(私が会長を)もその風に乗り2022年神戸世界パラ陸上選手権で一層盛り上げようと思っていたのです。ところがコロナ禍はそう簡単には収束せず、今度はオミクロン株の影響で神戸世界パラ陸上は2024年に延期に。
そこで、日本知的陸上競技連盟理事長の奥松美恵子さんを中心に、今年3月に健常者と様々な障がいのある選手が一緒にレースを行う新たな競技会の開催を予定しています。名づけて「オール陸上競技大会」。知的陸連と東京陸上競技協会が主催で、共催が日本パラ陸連と日本デフ陸上競技協会、後援に日本ブラインドマラソン協会が名を連ねました。障がい者陸上の4団体が一つとなり行う初めての大会です。3月21日と27日は東京駒沢の陸上競技場で、26日は横浜の日体大グラウンドで投てき競技を。
トラック種目では申し込み時も自己申告タイムで組み分けが行われ、子どもから大人まで、健常者も障がい者も分け隔てなく出場できます。例えば100mや200mなどのトラック競技では、視覚障がい者でガイドランナーと一緒に走る選手には2レーンが確保され、聴覚障がい者のためには光で知らせるスタートランプも準備します。「ちょっとしたサポートで、健常者と障がい者が同じ土俵で競い合えます」と奥松さん。陸上競技場の中がダイバーシティ(多様性)のお手本になりそう。すでに約1400人の申し込みが。
オール陸上の大会が全国各地で開催され、それが競技場から街に広がっていく。そんなイメージを膨らませる春です。
(共同通信/2022年2月7日配信)