てっぺんに薄っすらと雪化粧をした吾妻連峰を眺めながら、11月14日、2年ぶりに東日本女子駅伝が開催されました。レース前日の信夫ケ丘陸上競技場には、18都道県の選手達が大勢集い、それはレースへの渇望感を表すような風景でした。 「今年は群馬でしょう。アンカーまでに2分は欲しいな」と東京都チーム監督の中村孝夫さん。他チームの監督達も群馬県のアンカー不破聖衣来さんを恐れていたのです。というのも不破さんは、2週間前の全日本大学女子駅伝でエース5区を大激走。区間記録を1分以上も更新。私も彼女の走りをみるのが楽しみでした。 レースは、群馬の岡本春美さんが区間新記録の走りでトップに立ち、このまま独走かと思いきや、千葉、宮城、長野の中高生が活躍し、目まぐるしく順位が変わりました。そしてアンカーの不破さんにはトップと38秒差の3位でタスキがつながりました。 初めてテレビ解説した福士加代子さん、不破さんの走りに「動く歩道を走っているみたい。体が全くブレないのがスゴイ!」とびっくりした様子でした。不破さんは10㎞の中でもスピードチェンジが何度かあり、その度に動きが変わります。長野の和田有菜さんの追い上げを残り2㎞からのスパートで振り切り、群馬県チームに6年ぶりの優勝をもたらしました。「パリ五輪が楽しみだぁ」と福士さん。 彼女を指導する五十嵐利治さん(拓殖大学陸上部監督)は小出義雄さんの元でコーチをしていました。「がんばって指導していれば、きっと素晴らしい選手に巡り会うよ」とずっと言われていたそうです。「僕も出会えました。不破はまだ全然キツい練習をやってないですよ」と五十嵐さんは話します。スターの登場です!
(共同通信/2021年11月15日配信)