イチョウの木々が色づき始めた駒沢公園陸上競技場の入り口で、大学生達が明るく元気に受け付けをしていました。競技場に入るとホームストレートいっぱいにハードルに掛けられたスポンサー企業の横断幕が並んでいます。運営で走りまわる人も若い人が多く、欧米の大会に似た新しい景色を見るようでした。 10月30日に開催された「ミドルディスタンスサーキット東京大会」は、横田真人さん(ロンドン五輪800m日本代表)のプロデュースによるもの。横田さんは現役の頃から中距離種目にお客さんが入らないことをもどかしく思っていたそう。中距離種目の魅力をもっと広く知って欲しい気持ちに溢れ、「参加する選手もお客さんもボランティアの人も皆が楽しめる大会を目ざしています」とエネルギッシュな方なのです。 この日、中学生、高校生、大学生、実業団、市民ランナーがおよそ600人集いました。そして競技レベルに合わせて800m、1500mに次々とチャレンジ。グループによっては43歳の男性が18歳の高校生を引っ張ったり、中学生が最後の直線で大学生を抜き去ったり。自己ベストに飛び上がって喜ぶ人もいれば、最後に負けて涙する人も。たくさんのドラマに触れられて楽しかったです。 つくづく中距離はかけ引きがあった面白いね!と私が言うと「そうでしょ、そうでしょ」と横田さんは満面の笑み。場内アナウンスも大学生のボランティアが行い、ハツラツとしていてテンポがよく、特別レースには東京五輪代表の田中希実さんと卜部蘭さんが登場。正面スタンドは多くの観客で大賑わい。お祭りのように楽しい競技会でした。横田さんの陸上愛、行動力が新しい大会を生み出しました。
(共同通信/2021年11月1日配信)